慶應通信のすゝめ

慶應義塾大学 通信教育課程で学び卒業を目指します

『慶應通信のすゝめ』は、慶應義塾大学 通信教育課程(経済学部)の卒業を目指す社会人のブログです。自分自身の学習計画を整理するために立ち上げました。私と同じようなことでつまずく通信生も世の中にはきっといるはず。少しでもお役に立てればと思います。

2015年03月

 慶應義塾大学 通信教育課程(経済学部)に幸運にも合格することができましたので、あらためて自己紹介させていただきます(さほど興味はないと思いますが、そこはご愛嬌)。
平和来(朝倉文夫)
 すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、こちらの『慶應通信のすゝめ』ブログに「にゃべぞう」というハンドルで書かせてもらっています。現在、東京都内で働く社会人です。東北の生まれの雪国育ち。前の大学のときに上京し、そのまま東京で暮らしています。


通信制大学で学ぼうと思ったきっかけ

 社会人として働いていると、「あれを勉強しておけば良かった」「これも勉強しておくべきだった」と感じることが度々あります。ちょっとした趣味レベルで良ければ本でも買って読めば済む話だろうけど、できればもっと本腰を入れて興味のある分野(経済/商学)について勉強したいと以前から考えていました。

 その思いに拍車をかけたのが、2011年3月11日の東日本大震災。あの壊滅的な状況を目にして以来、限られた人生の中で「今やるべきこと、やりたいことは何か」を考えるようになりました。大学で学び直したい気持ちが日に日に強くなっていきました。

 ところが現状はそうもいかず、必死で働かなければならない日々が長らく続き、気がつけば震災から4年もたってしまいました(時の流れは本当に早い)。

 今ではいくぶんマシにはなったけれど、忙しいことに何ら変わりはないです。でも、もう待ってはいられません。「大学で学ぶなら今しかない!」と決意した次第です。

「通信制大学」以外の選択肢は私にはありませんでした。これから勉強して大学受験するのもありだけど、受かるまで何年もかかってしまいそうだし、現在の仕事から考えて平日の昼に通学するのは無理です。そして、何百万円もの学費を収めるのは、なかなか厳しいですから。

 自分のペースで学べ、学費も良心的(年間およそ6〜13万円[スクーリング受講料、卒論関連学費等は除く])ということで、通信制大学を選びました。


数ある通信制大学で「慶應通信」を選んだ理由

 慶應義塾大学には昔から憧れがありますし、福澤諭吉先生の考え方にも共感しています。他にも、第一線でご活躍されている先生の授業を受けられるとか、図書館が充実しているとか、会社に近いとか、たくさん良いところはあるでしょうが、私が一番に魅力を感じたのは、やっぱり教育の質が信頼できるということです。

 慶應大学の通信教育課程を卒業するのは極めて難しいと言われています(参考「願書出願の準備スタート!」)。でもそれだからこそ、その名に恥じない信用に値するレベルだと言い切れます。

 慶應義塾大学通信教育課程WEBサイトの「よくある質問」ページによると、「学位記(卒業証書)」と「卒業証明書」には“通信教育課程”の文字は入りません。「学位記は通学課程と同様のものが授与されます」と書いてあります(「成績証明書」には“通信教育課程”と記載されます)。つまり、このことからも通信生と通学生の卒業を称号として“同等”と大学側は見なしていると言えるでしょう。

 どうせチャレンジするからには、自分の努力に誇りが持てる大学を選びたいと思いました。その道のりは険しいかもしれませんが、ぜひとも頑張って「慶應通信」を卒業したいです。


経済学部で学びたい理由

 私は人生の大半を「不景気」の中で生きてきた世代です。バブル崩壊リーマン・ショックギリシャ経済危機長期のデフレなど、不況の波に翻弄され続けてきました。経済学や商学に興味を持ったのは、そういった背景もありますし、今の仕事に学問を活かしていきたいという思いもあります。また、今はまだ漠然としていてまとまっていないアイディアを具体的な形にしていく上で、大学で学ぶことがきっと力になると考えました。


特技と苦手なこと

 これと言った特技はありませんが、あえて言うなら年配者に嫌われないことぐらいかも(それは特技と言うのか? ただの偶然な気も)。

 苦手なことと言えば、まさに今こうして書いている「自己紹介」とか「自己PR」です。大勢の前で「スピーチ」することも得意ではありません。


趣味

 野球観戦(東京ヤクルトスワローズ・ファン)/自転車(ロードバイク)/クラシック映画


好きな芸能人

 笠 智衆(俳優)



 思いのほか、自己紹介が長くなってしまい失礼しました(気が引けるので、後半はどんどん短くしました)。最後まで呼んでくださった方は、たぶん心優しい我慢強い人だと思います。何はともあれ今後ともよろしくお願いします。


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 今回は「慶友会」について書きたいと思います。

「慶友会」とは、慶應義塾大学 通信教育課程の在学生が、学習の啓発を目的として自主的に結成している学生団体です(全国各地に50団体以上)。それぞれの「慶友会」が定期的に例会を開いて勉学上の情報を交換したり、大学の先生によるセミナーや講習会などを開催したりしています。
慶友会
「慶友会」に入会するかどうかですが、私は前向きに検討したいと思います。他の通信生がどのように学んでいるのか生の声を聞きたいですし、先生方のセミナーや講習会で学びたいからです。独学で学ぶことがメインだからこそ、そういった機会で様々な通信生と交流を広げていければと思います。

 どこの「慶友会」にするかは、定期的にしっかり活動を行っていて、参加できそうな場所で例会をしていること。あとはセミナーや講習会が毎年ちゃんと開催されているかどうかで判断したいと思います。多ければ良いというものではないでしょうが、会員数も一つの目安にしたいです(人が集まるのには理由があると思うので)。

 各「慶友会」の活動状況は、それぞれのWEBサイトを見れば、だいたい分かる気がします。まめに情報を更新している「慶友会」は精力的に活動している団体とみて間違いないでしょう。そう考えると、ある程度は候補を絞れるのでは。

「慶友会」の年会費は1〜3千円ぐらいのところが多いようです(高くても5千円)。「ニフティ慶友会」や「慶友会 海外ネットワーク」のように年会費無料のところもあります。

 学習会にプラスして交流イベントの方にも力を入れている会や、勉強オンリーで取り組む硬派な会など、各「慶友会」によって方針が違うようです。20〜30代を中心とした若い世代が集まる会もあれば、幅広い年代の方と交流できる会もあるようです。

 実際の雰囲気は入会してみないことには分かりません。複数の「慶友会」に入会した通信生も中にはいるようです。

 どこの「慶友会」にするかは入学式のときに説明を聞いて、それから決めたいと思います。「おすすめの慶友会はここだ!」 とかございましたら、ぜひ教えていただければと思います。

 下記の「慶友会一覧」に、公式WEBサイトと思われるリンクを付けました(2015年3月24日調べ)。「慶友会」を選ぶ際の参考にしてもらえたらと思います(公式WEBサイトかどうか判別できないものは外しました。リンクの間違いや変更があった場合はご容赦ください)。



慶友会一覧

【北海道エリア】
  • 札幌慶友会(北海道一円)

【東北エリア】
  • 岩手慶友会(岩手県全域および近隣各県) Website
  • 山形慶友会(山形県内を中心とする周辺地域)
  • 宮城慶友会(宮城県近郊[仙台市内中心])

【関東エリア】
  • 栃木慶友会(宇都宮市を中心に栃木県内)
  • 群馬慶友会(群馬県内)
  • 埼玉慶友会(埼玉県および近郊) Website
  • 千葉慶友会(千葉県) Website
  • Tokyo Socius(全国) Website | Facebook | Twitter | Blog
  • 東京ポニークラス
  • 東京三田クラス(三田キャンパス周辺) Website | Blog
  • 東京さくら慶友会(新宿)
  • 東京もえぎクラス(江戸川区・江東区・[東京城東地域]および近県) Website
  • 東京武蔵野クラス(首都圏) Website
  • 東京多摩クラス(中央線、京王線、南武線、武蔵野線、青梅線沿線地域) Website
  • 横浜慶友会(首都圏) Website | Facebook | Twitter
  • 現代英語研究会(東京・神奈川)
  • 三田国文学研究会(首都圏)
  • 民法研究会(田町周辺)
  • 英語読書会(日吉キャンパスまたは三田キャンパス)

【中部・北陸エリア】
  • 新潟慶友会(新潟県およびその隣県) Website
  • 松本慶友会(長野県中南信地域)
  • 長野慶友会(長野県東北信地域および近県)
  • 静岡慶友会(静岡県内) Website
  • 慶大愛知クラス(愛知県全域) Website | Twitter
  • 岐阜慶友会(岐阜県)

【関西エリア】
  • 三重慶友会(三重県地域および近県)
  • 京滋慶友会(京都・滋賀・奈良・大阪を中心に関西地方) Website
  • 大阪慶友会(関西地域) Website | Twitter
  • 神戸慶友会(兵庫県を中心とした関西一円) Website

【中国エリア】
  • 岡山慶友会(岡山県および近県) Website | Blog
  • 広島慶友会(広島県内と周辺地域)
  • 山口慶友会(山口県全域) Website

【四国エリア】
  • 徳島慶友会(徳島県内)

【九州エリア】
  • 福岡慶友会(福岡県および九州全域) Website | Twitter
  • 筑後慶友会(福岡県中部・南部)
  • 熊本慶友会(熊本県) Website
  • 大分慶友会(大分県内)
  • 鹿児島慶友会(鹿児島県および近郊) Website

【海外・全国エリア】
  • 慶應通信文学会(全国[主に首都圏]) Website
  • 慶應母親学生会(全国) Website
  • フランス語研究会(東京)
  • ニフティ慶友会(全国) Website
  • マルチメディア慶友会(全国)
  • 海外ネットワーク(海外[インターネット上]) Website
  • Wing(全国) Website | Facebook | Twitter
  • 法学慶友会(全国) Website
  • 湘南慶友会(三田・湘南地域) Website
  • 社会学ゼミ(東京・関東) Website
  • 慶應さんかく会(全国) Website
  • アメリカ文学慶友会(三田[キャンパス周辺]) Website | Facebook | Twitter


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 善は急げということで、早速「 入学金&学費」を郵便局で支払ってきました。
 払込金額は12万円(+振込手数料340円)。締め切りは4月15日です(受付印有効)。
「入学金&学費」振込用紙

【入学金&学費の手続き】
  1. 【払込方法】合格通知と同封されていた「払込用紙」を使用し、「ゆうちよ銀行」または「郵便局」の窓口から払い込み
  2. 【払込期限】2015年4月15日(水)(「ゆうちよ銀行」または「郵便局」の受付印有効、締切厳守)
  3. 【払込金額】120,000円

【学費内訳詳細】

入学金 ¥20,000
年間登録料  ¥10,000
教育費 ¥70,000
教材費 ¥20,000
【合計】 ¥120,000


 念のための注意点。「払込方法は、郵便振替に限ります」とのことなので、書留で送ったり、銀行振込はしないこと(流石にいないと思いますが)。払込用紙の「払込受領証」が「学費の領収書」となるので絶対になくさないこと。また払込の際は「本人確認書類の提示」が必要(払込金額が10万円を超えるため)なので、「ゆうちよ銀行」(または「郵便局」)に行く際は必ず「身分証明書」を持参すること。あとは払込の際に手数料(340円)がかかることも頭に入れておくといいですね。

 これで後は「教材&学生証」が届くのを待つのみとなりました(楽しみ)。事前勉強を着々と進めておきたいと思います。


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 Twitterでフォローさせていただいている松本勝晴さん(@k_matsumoto)の昨日(3/21)のツイートに「2015年度4月募集の合否通知が到着し始めている」との情報がありました。外出先から急いで自宅に戻ってポストを確認したところ、慶応義塾大学 通信教育部から「簡易書留」が届いているじゃないですか。週明けとばかり思っていたので完全に油断していました。

 24時間営業している郵便(たまたま近くて助かった!)まで、ドキドキしながら受け取りに行ってきました(局員さん、遅くまでご苦労さまです)。

 はやる気持ちを抑え切れず、その場で開封。

 その結果は合格
慶應通信「合否通知」
 2015年3月21日(土)の「春分の日」、慶應義塾大学 通信教育課程(経済学部)の「合格通知」を無事に受け取ることができました。そわそわして落ち着かない日々が1ヶ月ほど続きましたが、これでようやく一安心です。

 正直、「志望理由書」の内容に自信がなく、不安な日々が続きました。テキストを校正し合った友人(先輩)の出来栄えの良さに、ますます心配になりました。何度も読み返し最善を尽くしたつもりではありますが、合否を判断される先生方から見れば、本当はまだまだ力不足だったことでしょう。それでも入学のチャンスをいただいたわけですから、期待に応えられるよう努力していかなければなりません。

 合否の結果をもんもんと待つ間、2014年秋に慶應通信に合格された鈴太さんのブログ記事「【慶應通信】合否通知来たらいずれも報告します。」を拝読しました。
合格してたら当然ブログにアップすることになりますが、
不合格でもその「不合格通知」をアップします。
それでも、私のつまらないブログを読んでくれる方、
「いいね」や「バナー」をクリックしてくれる方が
少なからず、いらっしゃるわけです。

そのような中、慶應通信に不合格になったからと言って、
そのままフェードアウトするのは申し訳ないです。
 うぅぅ、なんて男らしい(ぐうの音も出ない)。こんな勇ましい記事を読んでしまった以上、逃げも隠れもできないなと考えていました。「不合格」だった場合は、かっこ悪いけど包み隠さず公表して、なぜ「不合格」になったかを分析し、その後、作ったブログをどうしていくか……。慶應通信(もしくは他の大学)の受験に再チャレンジするか、新たな勉強ブログとして再出発するか、友人(先輩)に引き継いでもらうか、身の振り方を真剣に考える今日この頃でした。

 なんとか合格できてその心配はなくなりましたが、安堵すると同時に、「慶應通信生」としてその名を汚すことはできないと感じているところです。何が何でも「卒業」しなければいけません。とにかく頑張らなければ(その前に学費を支払わないと!)。

 通信大学生ブログのリンクは合格するまでは控えさせてもらっていましたが、これからは少しずつリンクさせてもらおうかと思います。

 慶應通信の先輩や卒業生の方々、または同期生、このブログを読んでくださっている皆さん、不束者ではありますが、今後とも宜しくお願いいたします。ともに高め合っていければ幸いです。

 今日は気分よく野球観戦でもしようかと思います。

【追記】
 ちなみに友人[先輩]も合格していました。おめでとうございます! これで晴れて同期生。年上だけど「君」付けで呼んでみようかしら。怒られそうだけど(笑)。


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 福田恆存と言えば、シェイクスピア『ハムレット 』『オセロー 』『マクベス 』『リア王 』やヘミングウェイ『老人と海 』、オスカー・ワイルド『サロメ 』『ドリアン・グレイの肖像 』等の翻訳家として有名です。思想家としても戦後の日本を代表する人物だったと言えます。

 前回のブログ記事「わかりやすい文章を書くには?」に続いて、今回は福田恆存(著)『私の国語教室について書きたいと思います。
金田一京助「現代かなづかい」 vs 福田恆存「歴史仮名遣い」
私の国語教室』のほとんどは現代かなづかい」vs「歴史的仮名遣」の論争(「福田・金田一論争」)についての記述です。一見、国語教室とは関係ないようにも思えます。でも読み進めていくと、日本語をちゃんと理解するためには「歴史的仮名遣い」を学ぶことが重要だと、福田恆存が考えていたことがよく分かります。
 

私の国語教室 (文春文庫)

 説明するまでもないですが、現在の日本人が使用する書き言葉は「現代かなづかい」を元にした「現代仮名遣い」。それに対して、中学や高校の古文の授業で習った昔ながらの書き言葉が「歴史的仮名遣い」です(例えば「當然、慶應通信生は卒業したいと思ふことでせう」のような文です。明治から第二次世界大戦終結直後まで正式な日本語の表記法でした)。

 どうして「現代かなづかい」vs「歴史的仮名遣」の論争が起きたのでしょうか。まずはその経緯から説明させてもらいます。

 第二次世界大戦後の日本において、“覚える漢字の数を減らそう! 日本語をもっと簡単化にしよう!”という日本語改革論者の勢いが強まり、それを良しとした文部省(現在の文部科学省)によって「現代かなづかい」と「当用漢字」(1850字)が制定されるという、いわゆる日本語の“ゆとり”改定が行われました。

 その背景には、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)のお墨付き団体によって、“漢字が民主化を遅らせた。カンジ、ダメ、ゼッタイ。ローマ字の方が便利デス”といったような勧告があったり、“現代日本語の発音どおりに日本語表記を変えようぜ”という考えの日本語改革論者が、国語審議会委員の多数派だったことから、一気に「現代かなづかい」を採用する方向に進んでいったようです。

 一千年かけて少しずつ変化してきた「歴史的仮名遣」は、たかだか数年で「現代かなづかい」に取って代わることになりました。

 Wikipediaの「国語国字問題」によると、読売報知(当時の読売新聞)ですら「漢字を廃止せよ」という社説を出していたり、作家・志賀直哉に至っては「日本語を廃止して、世界中で一番美しい言語であるフランス語を採用することにしたらどうか」と提案していました。世の中の流れが日本語を改定する方向に向かっていたのかもしれませんね。

 金田一京助(『明解国語辞典』で有名な方ですが、名前を貸しただけで辞書作りにはほとんど関与していないのだとか。知らなかった)を初めとする日本語改革論者は、現代日本語の発音に合わせた日本語表記の「現代かなづかい」を推しました。また、使用頻度の高い漢字だけを残し、難しい旧漢字を略字体に置き換えた「当用漢字」を選定することで、覚えるべき漢字の数を大幅に減らすべきだと主張しました(ちなみに現在は2010年改定の「常用漢字」2136字です)。

 しかし、それに対して断固反対したのが福田恆存です。「現代かなづかい」の矛盾を徹底的に非難し、「歴史的仮名遣」の方が合理的で論理的に一貫性があると主張しました。

 例えば、
  • 現代日本語の発音に合わせて1字1音を原則として書くのが「現代かなづかい」だと言うのに、「私は」「東京へ」「水を」といったように、そこだけ「歴史仮名遣い」を用いるのはおかしい。「私わ」「東京え」「水お」にしないのはどうしてか?
  • 」が「こうり」ではなく「こおり」で、「お父さん」が「おとおさん」でなく「おとうさん」が正しい理由は? 「大きい」が「おうきい」ではなく「おおきい」で、「王子」が「おおじ」でなく「おうじ」なのはどうしてか?
  • 」と「」、「」と「」のどういった理屈で使い分ければ良いのか……。
 それらは「歴史仮名遣い」の原則を知らなければ説明できないじゃないかと。

 その「歴史的仮名遣」の原則が何かと言えば、「書き言葉は“音”ではなく“語”に従う」ということです。どういうことかと言うと、表記に関して言えば、“音声”よりも“意味”が「主」であり「目的」で、まさに「“意味”を書き記す」ために組み立てられたのが「歴史的仮名遣」ということです。

 一方「現代かなづかい」は、“意味”よりも“音声”の方を「主」として、それに合わせて無理やり書き言葉を変えてしまったため、本来「表記」が果たすべき「“意味”を書き記す」という機能が中途半端になってしまいました。だから、ことあるごとに「歴史的仮名遣」の原則を借りるしかないというわけです。

「歴史的仮名遣」には“音声”と“表記”一致しない例外はあっても、その数はたいして多くないし、「歴史的仮名遣」のルールを覚えるのはそう難しくもない。“意味”を表記する「目的」から見れば、「現代かなづかい」よりも「歴史的仮名遣」の方がはるかに現実的だというのが、福田恆存の意見なのだと思います。
……歴史的かなづかいはこの表音文字といふ現実をそのまま受け入れて、その現実とは別次元に表意という概念をたて、それをめざしているものであります。つまり、最初から現実と概念の二元論上に立っているのです。一方、「現代かなづかい」は表音文字であることを理由に表意性を認めない。すなわち表音という現実以外に別の原理を求めず、現実から帰納しえた原則をもって現実を処理しようとしている、いわば一元論に立つものなのであります。二元論が二元に相渉(あいわた)るのは妥協ではなく、それが初めからの約束ですが、一元論が二元に相渉るのは妥協であり、矛盾であります。のみならず、このジレンマの致命傷は一元論そのものの崩壊になり、その原則自身の無力を裏切り示すことになるのです(「歴史仮名遣い」の原文を「現代仮名遣い」に変換)。
 福田恆存は、すべての言葉は“音”と“意味”が結合したものであって、どちらか一つで成立するものではないと考えました(二元論)。また彼は、「歴史的仮名遣」の原則を絶対に変えるなと言っているわけではなく、「一千年前に基を置いているだけのことで、音韻変化の史的現実に即応して変わってきたものですし、また今後も変わうるものなのです」と書いています。強引に変えてしまうのではなく、必要に応じて「徐々に部分的に改めていくのがいい」と考えていたようです。

 さて論争の結末は、「けっきょく決着しないまま論争は終わった」と「福田・金田一論争」には書いてありますが、しかし、どうでしょう? 『私の国語教室』を最後まで読んだ感想では、理論上は福田恆存の圧勝じゃないかと思いました(金田一京助の書籍を読めば、意見が変わるかもしれませんが)。

 ところがどっこい、現在の日本語は「現代かなづかい」の元となった「現代仮名遣い」が標準の書き言葉として定着し、「歴史的仮名遣」はほとんど使用されなくなりました(国文学を学ぶ人は例外として)。皮肉なことに「現代かなづかい」の完全勝利なわけです。

私の国語教室』は全編「歴史的仮名遣」で書かれた書籍なので、「歴史的仮名遣」に慣れていない私には大変読みづらく、特に旧字体の漢字(例えば「鹽→塩」など)には苦労しました。でも我慢して読んでいるうちに少しは慣れるものですね。

私の国語教室』の「前書き」には、1章と2章、6章だけでもいいから読んでほしいといったことが書いてあります。ちなみに「歴史仮名遣い」講座は3章からになります。

 福田恆存にしてみれば易しく解説したつりもかもしれませんが、一度読んだだけではとても覚えきれません。何となくアウトラインを理解するのでいっぱいいっぱいです。「現代仮名遣い」で書いてあれば、もうちょっと理解しやすいと思うんですけど。ただ、「歴史的仮名遣」を推している以上、それはできないのでしょうね。

 いまさら「歴史的仮名遣」が主流になることはないでしょうが、日本語の深みを知るには「歴史的仮名遣」を改めて勉強し直さなきゃ駄目だと感じました。

 少しずつではありますが、時代のニーズに合わせて「漢字」を見直す動きがあるのも事実です。「当用漢字」の1850字ではさすがに足りなすぎるということで、1981年には「常用漢字」として1945字、2010年の改訂では更に2136字まで増えました。

 1981年より以前は、「」「」「」「」といったよく使用される漢字も「当用漢字」には含まれていませんでした。「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」も入っていなかったわけです。これら以外にも、どうして選ばれなかったのか理解できない漢字が多々あります。

 2010年に改定されて、ようやく「」「」「」「鹿」「」が「常用漢字」となり、「」「」「」「」「」「」「」「」「」も堂々と使用できるようになりました。ジャニーズのファンの強い要望があったかどうかは知りませんが、ようやく「」も「常用漢字」の仲間入りです。

 ちなみに慶應大学の「」は「常用漢字」ではありません。「常用漢字」では「」になります。すべてを挙げたら本当にキリがありません。

 ちょっくら日本語のお勉強でもしようかと思って読んだ『私の国語教室』でしたが、気がつけば何度も読み返すはめになり、どえらく時間がかかりました。慶應通信というテーマからは大幅に脱線してしまいましたが、でもまあそれはそれで良しとして、せっかくなので「古文の参考書」でも買って勉強し直そうかと思います。その後でまた改めて『私の国語教室』を再読してみたいです。

 まとめきれず長文になってしまいました。駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

【参考】
■漢字表一覧 | 青空文庫

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 私は、文章を書くのが昔から苦手です。こうしてブログを書くのも毎度ひと苦労しています(すらすら書ける人が本当に羨ましい!)。でも通信生として入学すれば、卒業するまで山ほど文章を書かなければなりません。だから苦手だなんて言ってられないです。

 レポートや論文の書き方については、以前の記事「『志望理由書』を書き始めるその前に、レポート・論文の書き方を学ぼう!」に軽くまとめさせてもらいました。ただ、そもそも文章がヘタクソでは、レポートどころの話ではないです。

「わかりやすい文章の書き方」について今回は書きます。
中学生からの作文技術/私の国語教室
 参考にさせてもらったのは、“左”のジャーナリスト・本多勝一(著)の『中学生からの作文技術』と、“右”の論客・福田恆存(著)の『私の国語教室』です。
 


 彼らの“右左”の思想はさておき、書籍の内容はどちらも素晴らしいです。すぐにでも役に立つのは本多勝一氏の書籍でしょう。文学部の方であれば、翻訳家・思想家としても名高い福田恆存(1912 - 1994)氏の書籍も読んでおいた方が良いと思います。

 今回は『中学生からの作文技術』からご紹介します。この書籍はロングセラー『日本語の作文技術』『実戦・日本語の作文技術』を中学生向けに再編したいいとこ取りの入門書です。中学生だけに読ませるなんて実にもったいない。文章を書くのが苦手な大人にこそタメになる本です。

中学生からの作文技術』は、読む側にとってわかりやすい文章を書くための技術を解説しています。各章の最後には文章技術を「おさらい」としてまとめてくれていますが、更にそこから5つの最重要事項を抜き出しました。


【わかりやすい文章のルール】
  1. 「かかる言葉」と「受ける言葉」は近いほどわかりやすい。
  2. 「節」を先にして、「句」をあとにする。※1
  3. 同じ「節」(または「句」)では、長い方を先にする。※2 ※3
  4. 長い「かかる言葉」が二つ以上あるとき、その境界にテンをうつ。
  5. 語順が逆順の場合にテンをうつ。
 ※1 節:1個以上の述語を含む複文。句:述語を含まない文節。
 ※2 長さが同じくらいのときは、大きな内容の方を先にする。
 ※3 「長さ」も「大きさ」も同じときは、前後の言葉のなじみ具合で配置を考える。


「かかる言葉」は長い順に並べよう!

「かかる言葉」「受ける言葉」について説明すると、
花が咲いた。
という単純な文章で見れば、「花が」は「咲いた」にかかる言葉で、「咲いた」は「花が」を受ける言葉になります。つまり「花が」が「かかる言葉」で、「咲いた」が「受ける言葉」ということです(一般的な用語で言えば、「主語→述語」や「修飾→被修飾」の関係に当たります)。

「花が(かかる言葉)」→「咲いた(受ける言葉)」

 それが分かれば、あとは簡単。「かかる言葉」と「受ける言葉」をできるだけ近づけ、「かかる言葉」が文の中に複数ある場合は長い方から順番に並べれば良いということです。それだけで文章が分かりやすくなります。

 例えば、次の言葉をどう並べれば読みやすいかを考えた場合、
【かかる言葉】
  • 私がふるえるほど大嫌いなBを
  • 私の親友のCに
  • Aが

【受ける言葉】
  • 紹介した
 下記の6パターンが考えられますが、
①Aが/私がふるえるほど大嫌いなBを/私の親友のCに/紹介した。
②Aが/私の親友のCに/私がふるえるほど大嫌いなBを/紹介した。
③私がふるえるほど大嫌いなBを/Aが/私の親友のCに/紹介した。
④私がふるえるほど大嫌いなBを/私の親友のCに/Aが/紹介した。
⑤私の親友のCに/Aが/私がふるえるほど大嫌いなBを/紹介した。
⑥私の親友のCに/私がふるえるほど大嫌いなBを/Aが/紹介した。
 上記のルールに当てはめて考えれば、「かかる言葉」を長い順に並べればいいので、④が一番分かりやすい文章ということになります。こんな単純なルールで文章が分かりやすくなるんですね。驚きです。

中学生からの作文技術』には、「かかる言葉の順序」や「テンやマルのうちかた」について以外にも、漢字の使いかた、助詞の使いかた、どこで改行するか、文章のリズムなどについて書いてあります。中学生向けということもあり、けっして難しくはないので、私のような文章を書くのが苦手な方にはおすすめです。

 今回の記事に関しては、『中学生からの作文技術』を参考に、できるだけ文章に気を配ったつもりですが、まだまだ至らないところもあるでしょう。徐々に上手くなれればと思います。

 長くなってしまったので今回はこの辺にして、福田恆存(著)『私の国語教室』については次回の記事「日本語の“ゆとり”改定」で書きたいと思います。


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 学習を長く続けていく上で大切なことは、具体的な目標を立てること(長期/中期)。どれぐらい勉強が進んでいるか進行状況を把握することだと思います。現在の立ち位置が分からないのでは、モチベーションが続きません。

 かと言って、毎日の勉強を記録するのに手間はかけたくないです。気軽にパパっとできる便利な方法がないかなと探したら、あっという間に見つかりました。

 今回は、毎日の勉強を記録できる便利なサービス『Studyplus(スタディプラス)』をご紹介します(WEBサービス、スマホ用のアプリ等、全て無料の学習管理サービスです)。
Studyplus(スタディプラス)
Studyplus(スタディプラス)』のWEBサイトには「勉強を記録してグラフで可視化、タイムラインで共有して仲間と励まし合える、究極の学習管理サービス」とあります。

 使い方の手順を簡単に説明すると下記になります。


【使用手順】

①「教材」を登録(教科書や市販の問題集、オリジナル教材など)
         ↓
②「教材」を選択し「学習時間」や「学習量」を入力
 (「ストップウォッチ機能」付き)
         ↓
③どれぐらい勉強したか見やすい「グラフ」で確認
         ↓
④公開設定により同じ目標を持った仲間との
 コミュニケーションが可能(SNS機能)


 下記のムービーをご覧いただければ、だいたいのイメージがつかめると思います。とても分かりやすいシンプルな操作方法なので、パソコンやスマホが苦手な方でもすぐに覚えられると思います。



Studyplus(スタディプラス)』で検索すると、慶應通信生の方も数人おりました。学生だけでなく、資格取得を目指す社会人の学習管理にも便利だと思います。すでに活用している方も多いでしょうが、まだ使ったことのない方は、無料サービスですので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。


【Studyplus(スタディプラス)】
http://studyplus.jp

■App Store

■Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.studyplus.android.app&hl=ja



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 どうして英語が聴き取れないのでしょうか? リスニングをする時いつも思うのは「to」「and」とかの簡単な単語に限って、ほとんど聴き取れないということです。何度音声を再生しても「トゥー」とは聴こえないし、「アンド」とも発音していない。「私の耳がおかしいのか?」と疑ってしまいます。

 それだけではなく、ネイティブの会話は、とてつもなく速く感じます。「どんだけ容赦ないんだ」と諦めかけていましたが、たまたま本屋で見かけた『CD付 世界一わかりやすい英語の発音の授業』という本に、その答えが書いてありました。



CD付 世界一わかりやすい英語の発音の授業』の著者・関 正生氏(慶應義塾大学文学部卒)は、1週間で2000人以上を教えているという人気英語教師です(「受験サプリ」のテレビCMにも、ちらっと出てますね、ちらっと)。

 詳しくは書籍を読んでいただくとして、そのさわりを少しだけ説明すると、基本単語「to」が「トゥー」と聴こえず、「and」が「アンド」と聴こえないのは、私の耳が悪いのではなく、ネイティブは「トゥー」とも「アンド」とも発音していないのが理由とか。びっくり!

 つまりネイティブが「to」を「トゥー」と発音するのは、その言葉を強調して(もしくは丁寧に)言いたい時だけで、普段は「タ」と発音するケースの方が圧倒的に多いのだそうです(「トゥー」は「強形」といい、「タ」は「弱形」といいます)。同じように、「and」も「アンド」ではなく、普段は「ン」としかネイティブは発音しません(もしくはン」「ンド」)。

 ネイティブの会話がとてつもなく速く感じるのも、そこに理由があります。例えば日本人は「ロック・アンド・ロール」だと思っているのに、実際のネイティブは内田裕也みたいに「ロケンロール」って発音するため、「速い」と錯覚してしまうわけです。つまり、実際は「速い」というよりも「短い」というのが正解のようです。

 また「You are」は「ユー・アー」ではなく、「ヤー」と発音するように、隣同士の単語がくっついて発音するケースもあります(「You」は「弱形」で「ヤ」)。短くなったから速く聴こえたわけですね。

 発音の本は、他にも良書がたくさん出版されていますが、最初のとっかかりとして『CD付 世界一わかりやすい英語の発音の授業』はおすすめです。すらすら読めて分かりやすいですし、発音のルールをざっくり知るには打ってつけです。今回ご紹介した発音ルール以外にも、目からウロコな話が目白押し! 「CD付き」で「1,620円」はとてもお得だと思います。

 英語のリスニングや発音が苦手な方はぜひ。


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